米国議会の超党派諮問機関である「米中経済・安全保障審査委員会」は先ほど、「米中経済貿易速報」を発表した。同速報によると、米国の対中貿易赤字は今年上半期も拡大を続け、前年同期比9%増の1857億ドルにのぼった。米国政府の保護貿易主義が対中貿易赤字を解消するのではなくむしろ拡大したことは、対中貿易戦争を発動することで貿易赤字を解消できるという米国の嘘を証明している。

現状を見る限り、米国の貿易赤字が拡大していることには、主に2つの原因がある。まずは米国経済の好転により、米国の輸入の需要が拡大している。米国の第2四半期の経済データを見ると、経済成長率は年率換算で4.1%で、2008年の金融危機以降の2%前後という平均水準を大幅に上回っている。トランプ大統領が述べたように「米国経済は歴史的な転換を実現した」わけではなく、米国経済は2014年の第2・3四半期にも4.2%、5.1%という高度成長を記録していたが、それでも高い成長率と言える。米国経済の好転により輸入の需要が拡大するのは客観的かつ必然的だ。産業の分業と輸出入構造に変化がない中、米国の中国からの輸入量が拡大し、赤字がさらに拡大するだけだ。

また貿易戦争により、米国の中国製品への駆け込み需要があった。米国政府は中国製品に関税を課すと脅迫を続け、米国のメーカー及び消費者の生産と消費の予想が変わった。これから輸入コストが膨らむことを想定し、米小売大手のウォルマートとネット通販大手のアマゾンが発注を繰り上げ、米国が関税を上乗せする前に中国からの輸入を拡大することで、エスカレートを続ける貿易戦争による損失を減らそうとしている。通信機器は米国の対中赤字の最大の出処であり、米国側が貿易戦争で重点的に攻撃をしている業界でもある。貿易戦争のエスカレートに伴い、米国の通信企業は政策リスクを回避するため、中国からの通信機器の輸入を急いでいる。今年上半期の通信技術の赤字額は、前年同期比で約10.2%増加した。第2四半期だけでも、関連製品の貿易赤字は前年同期比3.7%増の321億ドルに達した。中国の輸出業者も、米国への出荷を急いでいる。6月に米国の港湾に運ばれた中国の輸出貨物量は、予想を大幅に上回った。米国の全港湾に集まった中国からのコンテナ数は、4月に前年同月比3.9%増、5月に6.9%増、6月に6.3%増となった。

米国側は懲罰関税により対中貿易赤字を減らそうとしているが、今後数年に渡り中米貿易の不均衡は引き続き拡大する可能性がある。その責任は中国側にない。まず、米国の対中貿易赤字を拡大させた要素が、依然として残される。米国経済は好転を続けるかもしれず、輸入の需要が拡大するのは客観的かつ必然的だ。米国政府はすべての対外需要を抑制できず、国内の生産だけですべての需要を満たすことはできない。次に、米国政府は貿易戦争により中国からの輸入を減らそうとしているが、米国の経済・消費・産業構造に根本的な変化が生じなければ、米国側の赤字政策(大規模な減税、国防費の拡大、今後の1兆ドル規模のインフラ計画)は貿易赤字をさらに拡大させるばかりだ。対中赤字もこれに伴い増加する。

最後に特に指摘しておくが、中国は対米貿易黒字を意図的に求めてはいない。米国側が過度に赤字問題にこだわれば、国内経済・産業構造を調整する機会を逸するだけだ。また米国政府が強制的な干渉により対中貿易赤字を減らしたとしても、これは市場の手段ではなく、国際分業及び比較優位性を人為的に乱すことから、いつまでも続くことはない(筆者・余翔 中国現代国際関係研究院米国研究所経済室主任)。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年8月10日