岸田内閣は現在、ベトナムのファム・ミン・チン首相とファン・バン・ザン国防相ら高官を迎えている。双方はいわゆる「自由で開かれたインド太平洋」と、武力による現状変更への反対を重ねて表明した。海外メディアは、日本はこの機会を利用しベトナムを抱き込み中国に対抗すると伝えた。実際に岸田内閣発足後の各国首脳との電話会談では、中国が一つのテーマとなった。日本の外交は「遠交近攻」の傾向を強めている。(筆者・廉徳瑰上海外国語大学日本研究センター主任、教授)

岸田首相と林芳正外相は現在まで、それぞれ米国、英国、インド、インドネシア、シンガポール、デンマークなどの各国の首脳と電話会談を開き、いわゆる「自由で開かれたインド太平洋」などについて意思疎通している。日本は中国や韓国ともオンラインで会談しているが、相互関係には依然として顕著な好転の兆しがない。中日韓首脳会談も2年連続で見送られており、短期間内に再開される可能性も見えない。

北東アジア情勢の緊張が続いている。日本政府は近年、中国と韓国に強硬な態度を示している。中国については米国に積極的に追随し戦略的包囲網を構築し、韓国に対してはハイテク制裁を行っており、この緊張の主な原因になっている。中日韓は本来、長年続く首脳会談により多くの成果を手にし、自由貿易交渉及び経済・文化交流を促進し、さらにソウルに中日韓協力事務局を置いていた。ところが2019年12月の最後の3カ国首脳会談後、現在も再開される兆しはない。持ち回り議長国である韓国側は最近、3カ国のメカニズムにより日韓関係を改善しようとしているが、日本側の態度は消極的だ。感染症は一時的に壁を増やしたが、複雑な内政及び外交が根本的な問題だ。

日本の強硬な対外政策の背景にあるのは、米国の日増しに露骨になる対中けん制政策だ。日本の自民党の右派は、その代理人である安倍晋三氏への立場表明を迫っている。彼らは中国を敵視し、米国に追随し中国をけん制することが日本の国家安全の利益に合致すると考えている。立場を表明したがらない韓国に対しては、自民党の右派は米国の反中政策を利用し、日本政府に対して韓国に圧力をかけるよう唆している。これは韓国に歴史のカードを切る「反日」政策を放棄するよう迫るためだ。

しかし実際には、日本の右派の対韓政策の立場は米国と異なっている。日韓関係の悪化は、北東アジアで米日韓を寄せ集め反中メカニズムを構築しようとする米国の狙いに影響を及ぼしている。反中包囲網は朝鮮半島でほころびを見せている。これは米国の戦略的な構想に合致しない。

日本の政治には戦後、常に2つの路線が存在する。まずはハト派・吉田茂の「軽武装・経済重視・日米安保中心主義」で、次に鳩山一郎や岸信介の「改憲・再武装・戦後レジーム脱却」だ。岸田派は前者の継承者、安倍派は後者の継承者だ。安倍氏は近年、党内のタカ派(右派)を代表し改憲と戦後レジーム脱却を促し、日本の政治を右傾化させた。今回の岸田文雄氏の首相就任は、自民党のハト派が日本の政治の主導権を取り戻したことを意味する。岸田氏は組閣中、徐々に安倍氏の影響力を弱め、自身の腹心を起用した。来年の参院選で勝利を収めれば、岸田氏が率いる宏池会はしっかり地に足をつけ、国内外の政策を調整する可能性がある。長期的に右派の制御を受けることはない。

日韓関係は強硬な右派の影響により一時的には改善が困難だが、日本の右派が日韓関係を妨害し米日韓メカニズムを妨害するのを米国が座視することはない。米国は今月16日、日本の森健良外務事務次官と韓国の崔鍾建外交部第1次官を呼び、対中政策と半島政策について協議した。これは引き続き米日韓の反中同盟を寄せ集めで作るためだが、協議終了後の3カ国共同記者会見を前にし、韓国警察庁の金昌竜長官の独島(日本名「竹島」)に上陸したことに日本側が抗議し、かつ双方が共同記者会見の出席を拒否した。日韓外交次官の「黙契」は、米日韓メカニズムを寄せ集めで作ろうとする努力を再び頓挫させた。

福田康夫氏は2007年に「日米同盟の強化とアジア外交の推進の共鳴」を主張したが、その後の麻生・安倍・菅内閣は「米国一辺倒」の傾向を示した。岸田氏は2回目の組閣で自分の主張を貫き、安倍氏と麻生氏の反対を押し切り、宏池会ナンバー2の林氏を外相に起用した。「岸田・林」体制が地に足をつけ右派の束縛から脱却し、現在の惰性的な「遠交近攻」戦略を放棄し、中日韓協力メカニズムの運用を再開し、複雑な世界的な大変動において日本の安全と経済の利益をしっかり守ると同時に、地域の安定及び世界平和により大きな貢献を成し遂げられるかが注目されている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年11月25日