国際オリンピック委員会(IOC)と東京2020組織委員会は東京時間24日夜、東京における第32回オリンピック競技大会の日程を、2020年以降だが2021年夏よりは遅くならない時点に変更する共同声明を発表した。これでようやく、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、東京五輪は予定通り開催できるのかという議論にけりがついた。

歴史上、五輪が中止になったことはあるが、延期になったのは今回が初めて。世界の祭典である五輪の延期は今後どんな影響を及ぼすだろうか。二千年以上の歴史がある五輪は時代が移り変わっても、平和の追求、交流の促進、スポーツの発展という精神的な中核、そして世界市民の五輪への思いは変わることなく受け継がれてきた。

変化する「バタフライ効果」

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、東京五輪最大の不確定要素となり、五輪計画変更に関する議論に火をつけた。

2月下旬、IOCのディック・パウンド委員は取材に対し、「感染が5月下旬までにコントロールされなければ、2020年東京五輪は延期や開催地変更ではなく、中止になる可能性がある」と述べた。日本政府は、これはIOCの公式な意見ではないと「火消し」に急いだが、IOC関係者の早い時期の発言として、五輪計画変更の兆しとなった。

世界中で感染が深刻化する中、五輪延期を求める声が次々と聞かれるようになった。こうした中、東京五輪を予定通り開催するのは現実的に難しくなった。

五輪の開催日程の変更はアスリートにとって影響が最も大きいのは言うまでもない。一年という時間が選手生命にとってどれほど貴重であるかについて、JOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長はこう語った。「延期の期間が長くなれば選手たちにとっては選考のやり直しなどが出てくるかもしれないし、この夏にピークを合わせてきた選手やこの大会が最後と考えている選手もいる。どんな期間になっても苦渋の決断になる」。

観客、特に日本以外の観客にとっては、1年以上前から会場での観戦の計画を立てる人が多いだろう。JOCは2019年4月、インターネットで観戦チケットの抽選申込・購入手続きの方法を発表したが、申し込んでも目当ての試合に当選する確率はかなり低い。五輪開催日程の変更で多くの人がせっかくのチャンスを逃すことになるだろう。経済的損失はもとより、こうした観客の気持ちもおもんばかれる。

五輪は4年周期で開催される。1年の延期で今回の周期は5年になり、次の周期は3年になる。次のパリ五輪の準備と開催、そして他の競技大会にどれだけ影響を及ぼすかについてまだ確かな答えは出ていない。

延期による経済的負担もさらにかさむ。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、1年の延期で会場や選手村などの関連施設の管理費が1年分増え、各関連団体が選考やり直しをするとなると、これらの経費は6408憶円(約58憶ドル)に上るという。

米テレビ局NBCユニバーサルは東京五輪の放映権に14億ドルを支払った。2019年末には、2020年東京五輪の広告販売は10憶ドルを上回り、2016年リオ五輪の記録を塗り替え過去最高額になる見込みを発表した。延期が決まった今、各テレビ局は来年の放映計画を調整せざるを得なくなったが、大部分の広告会社は今年の広告費をすでに計画通り投入した。東京五輪の国内スポンサーは等級制で62社がスポンサー契約を結んだ。そのうち上国内最上位のゴールド パートナーは数億ドルの契約金を支払う予定だったが、これらの費用も新たな五輪計画に基づいて調整が必要になる。

変わらない「五輪への思い」

開催日程は変更になったが、開催国・日本の五輪に対する思いは依然として強く、アスリートが五輪に真剣に向き合う態度も変わらないし、世界の五輪に対する熱意も冷めていない。

日本が五輪開催に執着するのは理解できなくない。周知のとおり1964年東京五輪はアジアで初めて開催されたオリンピックだ。戦争の影を一掃し、自国民のプライドを高める意味でも、初めて世界との結びつきを味わったという意味でも、1964年の五輪は日本の命運を決めるターニングポイントになったと言っても過言ではない。

五輪に対する特別な思いから日本は2020年東京五輪に向けて膨大なエネルギーと資源を投じてきた。2016年リオ五輪の閉会式では、安倍晋三首相がゲームの人気キャラクター「マリオ」に扮して8分間のショーに登場したり、JOCが「ロボット計画」など高度なテクノロジーの活用を発表するなど日本は様々な箇所でその入念さをみせてきた。

JOCが発表した予算によると、2020年東京五輪は1兆3500億円の予算をつぎ込み、メイン会場となる国立競技場は1569億円かけて3年がかりで建設された。競技場周辺には約4万7000株の植物が植えられ、建築物には47都道府県の木材が使用された。

2019年から2021年に開業予定のホテルの客室数は、日本の主要9都市で8万室が増加する。近年東京の街頭を歩くと、路面を補修していたり建物の外観をお化粧直ししているのをよく見かける。五輪に合わせて、東京では新しい駅や新しいバス路線が開通したり、外国語での案内が増えたり、サービス面での努力も見られる。

計画は変化に追いつけないが、日本の主流世論、特にスポーツ界は今回のやむを得ない決定を支持している。サッカー男子日本代表の森保一監督は「人々の命と健康があってこそのオリンピック。延期になったとしても、大会までの一回一回の活動に最善を尽くすことに変わらない」とコメント。バレーボール女子日本代表の中田久美監督は「このたびの延期の決定を重く受け止め、東京2020大会が世界の平和へとつながるようにしたい」とコメントした。

国際社会や各国のアスリートの間でも理解を示す声が広がっている。国際卓球連盟(ITTF)は、五輪予選の大会や世界ランキングなど対応計画の検討を始めると同時に、IOCと密に連携して、スポーツ競技の角度から五輪延期の影響を分析するとしている。男子飛び込みのトーマス・デーリー選手(英国)は「夢のために1年待つことは人々の安全を守るために払う価値のある犠牲だ」とソーシャルメディアでコメント。「たしかに私は1歳年をとり、体もそれを感じるだろう。だが、その時が来たら、英国チームのために全力でやる」と続けた。

2020年東京五輪は延期されるが、中止ではない。五輪のスポーツスピリットは平和・健康・安全の代表であり、人類調和の最高の融合剤だ。延期となった五輪への期待はより膨らみ、IOCが声明でいうように「東京五輪が世界の困難な時を照らす希望の灯火となり、五輪の聖火がトンネルの出口を照らす光となるはずだ。感染が収束し、東京五輪が再起動するその時、よりいっそう輝きを増すと信じている」。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月26日