パデュー大学農業経済学のウォーレンス・ティナー教授:米国の農民の中で関税による影響を最も受けるのは大豆栽培業者。中期的に見て、米国は中国大豆市場の69%を失う可能性がある。

米大豆協会役員会メンバー・イリノイ州豆農家のロバート・シェーファー氏:我々は40年かけてようやく中国市場を獲得した。早急に関税を廃止しなければ、この市場の開拓に努力してきた人は一生回復を目にできないだろう。

米下院農業委員会会長・ミネソタ州民主党員のコリン・ピーターソン氏:農民は現任政府の貿易政策に失望感を強めている。政府が支給する農業貿易手当は農民たちから「平和を買う」ためでしかない。

米国の大豆、トウモロコシ、小麦などの農業団体はこのほど、共同声明を発表し、米国の中国に対する追加関税に反対を表明した。一方、トランプ米大統領は、「米国の農民団体は中国に対する追加関税の受益者になる」、「米国は本国農民の支援に努める」と主張している。これについて、中国外交部の報道官は15日、米国側の主張は曖昧で、米国の農民と消費者に罪はないのに、彼らが「代言されている」と述べた。

米国の農民と学者は『環球時報』に対し、関税について明かした。「国家援助」という主張について、イリノイ州豆農家のロバート・シェーファー氏は、「手当が支給されたが、これだけの手当では何の役にも立たない。農民たちが望むのは市場の保障」だと率直に述べた。

「40年かけてようやく中国市場を獲得した」

アイオワ州大豆協会のコーク・リッツCEOは、「貿易戦において、米国の農民、特に豆農家が真っ先に被害を受けた。彼らがあとどれくらい耐えられるかわからない」と、自らの体験をもとに語った。コーク・リッツ氏の判断はデータに基づくものである。

パデュー大学農業経済学のウォーレンス・ティナー教授は自身の研究結果を以下のように説明した。標準的な貿易の弾性値とより高い貿易の弾性値の2種類がある中、米国が中国に輸出する大豆の下げ幅は48%と91%となっている。中期的に見て、米国は中国大豆市場の69%を失う可能性がある。EUやラテンアメリカなどの地域がある程度代わりの役目を果たしても、それ以上に巨大な中国市場とは比べ物にならない。

この貿易摩擦が続くにつれ、米国の農場と家庭は苦難に直面する。米国の農民は関税の引き上げより、国際市場で自身の商品を販売することを望んでいる。米国の豆農家は、「今年どれほどの大豆を栽培すべきか。保管している大豆を低価格で売り出すべきか」という苦しい選択を迫られている。

米大豆協会役員会メンバー・イリノイ州豆農家のロバート・シェーファー氏は『環球時報』に対し、「我々は40年かけてようやく中国市場を獲得した。早急に関税を廃止しなければ、この市場の開拓に努力してきた人は一生回復を目にできないだろう」と話した。1年前、記者はロバート氏が経営するイリノイ州イルパッソの農場を訪れた。当時、米国が中国からの輸入商品に追加関税をかけたため、中国は大豆を貿易報復リストに入れざるを得なかった。ロバート氏は不安だったが、まだ楽観視していた。1年後、ロバート氏は「根気がなくなった。豆農家たちのストレスはますます大きくなっている」と述べた。

米農務省は先日発表した報告で、大豆備蓄量は前年同期比29%増加したと明かした。米中西部の一部の農業生産地は今年、湿気が多く寒く、農民は植え付けを遅らせた。高い関税と植え付け時期の遅れにより、今年の大豆生産量は減少するとみられる。アイオワ州の一部の大豆農家は、平年は5月10日までに植え付けを終えるが、今年はまだ始めていないと話している。

価格が低迷し、在庫は2019年の収穫シーズンには倍になる見通しだが、大豆栽培業者も続く関税戦の犠牲者にはなりたくない。米大豆協会の一部の責任者は、大豆栽培業者にとってこれは価値のある市場、安定した価格、家庭とコミュニティを支えるチャンスを失うことだと考える。

破綻する農場も農民の精神に影響

米国の大豆農家は苦しい日々を送り、トウモロコシ農家も焦っている。地域で見ると、アイオワ州、オハイオ州、インディアナ州、イリノイ州、ミネソタ州、ネブラスカ州などの「トウモロコシ地帯」の州で被害が深刻となっている。

米ファームビューロー連合のチーフエコノミストのジョン・ニュートン博士は以下の見解を示す。米国の農民は近年で最も深刻な不景気を迎えている。市場低迷、世界情勢の変化、および続く貿易戦により、農業収入はわずか2年で50%減少した。過去数年は農業収入が周期的に減少し、その翌年に回復するのが普通だったが、現状においては長期的に未解決の貿易問題が深刻化し、多くの農場が窮地に陥り、短期債務を長期債務に変える農民も増え、全国範囲で農場が破綻するケースが増えている。セントルイスとカンザスシティの連邦準備銀行が公表した調査結果によると、米国中西部と中南部の7つの州で2019年第1四半期の農業収入が再び減少し、多くの農民が債務超過に直面している。

ウォーレンス・ティナー氏は『環球時報』に対し、「経済学者は厚生経済の概念で国または地域の社会福祉の変化を説明する。関税問題により、米国の厚生経済は年間22〜29億ドル減少する。生計を維持するのが困難になれば、米国の農民の精神面にも大きく影響する」と述べた。米ファームビューロー連合のジッピー・ドゥバル会長は、「この調査で、米国の農村は経済的だけでなく、精神的にも被害を受けることが実証された。農民と牧場経営者は長年にわたる大口商品価格の下落を経験している」と話した。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年5月16日